獣林寺妖変 赤江爆 2013年05月13日 獣林寺妖変1971年 講談社獣林寺妖変 (講談社文庫)http://" title="獣林寺妖変">ざっくりあらすじ獣林寺は、血天井を擁する禅寺である。調査が行われ、調査の結果、古いはずの人血の中から、強力なルミノール反応を持つものが現れたのである。ある科学つまり死後一ヶ月程とみられる新しい血痕だ。努は歌舞伎俳優である。大学専門部卒業と同時に歌舞伎界入りした、四年目にようやく一本立ちして名題役者の仲間入りしたものの、外の世界から飛び込んだ彼に、本興行でほとんど役らしい役がつくことはない。そういう世界である。崇夫も努とともにそんな道を辿ってきた同志だった。崇夫は名題役者のプライドを捨てて『明木屋』の門を叩き、部屋子となる。女形だけが歌舞伎の魔の中心に近づけるんだ、俺はこの眼でそれが見たいんだ、あの光の中心に、あのまばゆいものの真ン中に何があるのか、どうしても知りたいんだ、と崇夫は言った。そして、彼はいきなり歌舞伎界から消えた。「この血天井のなかに、女の流した血があるのだろうか?」という言葉を努に残したまま。あの血痕は崇夫のものではないのか、と。そして彼は、崇夫の後を追わざるを得なかった。努は『乙丸屋』の愛人たちを追い、彼らの身体の中に、愛撫の内に『乙丸屋』の魔を求める。それは皆、行方をくらます前に崇夫がなしてきたコトだった。。魔に魅入られて、努も立ち上った。題材は、歌舞伎の世界。外からでは、わからないことだらけの、芸術の世界。そこで、つてのない、若者二人が飛び込んで、魅入られた一人が、魔のど真ん中に足を踏み入れ行方不明となる。その真相を求めて、魔の渦の中へと、自分も戻れなくなると承知で踏み込んでいく。血天井と歌舞伎を結び付け妖艶な世界へと引き込んでいく。二人が魔に魅入られていくが、いつも間にか読者も魔に魅入られていく。読み終わったとき、自分もこの世界に、踏み込んで行ってしまうのではないのかと錯覚してしまう。赤江ワールドへようこそ [0回]PR